ウェス・アンダーソン監督の最新作『犬ヶ島』は、なんと架空の日本都市を舞台にしたストップ・モーションアニメだ。黒澤明や宮崎駿から影響を受け、作中には三船敏郎やヨーコ・オノも登場するなど、日本へのオマージュが随所に散りばめられた注目作、ベルリン国際映画祭では監督賞受賞と、すでに話題沸騰中だ。


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『犬ヶ島』は、どのようにスタートしたのですか?
ジェイソン・シュワルツマンとローマン・コッポラとこのプロジェクトを始めるとき、まずゴミ捨て場に捨てられた犬たちというアイデアがありました。一方で、僕たちは長いこと日本映画の大ファンだったので、いつかは日本で、あるいは日本に関する何かをやりたいと話していたんです。このふたつのアイデアが合わさり、日本を舞台にした、犬たちが主人公のファンタジーとなったのです。
トム・ストッパードが以前インタビューで、「新しい物語を考えるときは、ひとつのアイデアではなく、ふたつのアイデアが浮かんだとき、それらをぶつかり合わせることで初めてスタートすることができる」と語っていました。僕も彼と同じようなやり方なんです。

『犬ヶ島』には黒澤明の影響が感じられますが、他にはどのような日本映画を参考にしたのでしょうか?
特に50年代、60年代の日本映画が好きなんです。黒澤明はまさに師匠のような存在ですね。今回は、侍が出てくる時代劇ではなく、大都市、特に東京を舞台とした現代劇を参考にしました。『天国と地獄』、『野良犬』、『悪い奴ほどよく眠る』については、私たちは一番よく話しました。『醜聞』や『酔いどれ天使』も。『酔いどれ天使』の曲も使っています。とても美しい曲で、ヴィスコンティ監督『白夜』のヴェネチアの運河を思い起こさせる。少し現実離れしていて、ロマンティックでミステリアスな感じ。

Wes Anderson – Isle of Dogs 
Wes Anderson – Isle of Dogs 
Wes Anderson – Isle of Dogs 
Wes Anderson – Isle of Dogs 
Wes Anderson – Isle of Dogs 
Wes Anderson – Isle of Dogs
- 小林市長宅の番犬で、アタリの護衛犬
- 犬ヶ島への公的追放の第1号
- 高潔な“犬”格で仲間から慕われる
- 37連発発射可能の武器“秘密の歯”を持っている
あなたにお仕えすることになったスポッツです。これから24時間体制であなたにい付添い、身の安全を守ります。つまり私はあなたの犬です。
Spots – Wes Anderson Isle Of Dogs
あなたにお仕えすることになったスポッツです。これから24時間体制であなたにい付添い、身の安全を守ります。
Spots – Wes Anderson Isle Of Dogs
つまり私はあなたの犬です。
| 登場人物 | キャスト | 備考 |
|---|---|---|
| 小林アタリ | Koyu RANKIN(コーユー・ランキン) | 主人公 |
| Spots(スポッツ) | Liev SCHREIBER(リーブ・シュレイバー) | 連れ去られた愛犬 |
| Chief(チーフ) | Bryan CRANSTON(ブライアン・クランストン) | アタリを助ける“ヒーロー犬” |
| ヒーロー犬 | 犬反対派 | 犬愛護派 |
| Rex(レックス) | 小林市長 | 渡辺教授 |
| King(キング) | メイジャー・ドウモ | 科学者助手ヨーコ・オノ |
| Boss(ボス) | トレイシー・ウォーカー | |
| Duke(デューク) | ヒロシ編集員 |
今から20年後の日本。メガ崎市ではドッグ病が蔓延し、人間への感染を恐れた小林市長が、すべての犬を“犬ヶ島”に追放すると宣言する。
数か月後、犬ヶ島では、怒りと悲しみと空腹を抱えた犬たちがさまよっていた。その中に、ひときわ大きな5匹のグループがいる。かつては快適な家の中で飼われていたレックス、22本のドッグフードのCMに出演したキング、高校野球で最強チームのマスコットだったボス、健康管理に気を使ってくれる飼い主の愛犬だったデュークだ。そんな元ペットの4匹に、強く生きろと喝を入れるのが、ノラ犬だったチーフだ。
ある時、一人の少年が小型飛行機で島に降り立つ。彼の名はアタリ、護衛犬だったスポッツを捜しに来た小林市長の養子だ。事故で両親を亡くしてひとりぼっちになり、遠縁の小林市長に引き取られた12歳のアタリに
とって、スポッツだけが心を許せる親友だった。
スポッツは鍵のかかったオリから出られずに死んでしまったと思われたが、それは“犬”違いだった。何としてもスポッツを救い出すと決意するアタリに感動したレックスは、伝説の予言犬ジュピターとオラクルを訪ねて、教えを請おうと提案する。
一方、メガ崎市では、小林政権を批判し、ドッグ病の治療薬を研究していた渡辺教授が軟禁される。メガ崎高校新聞部のヒロシ編集員と留学生のウォーカーは、背後に潜む陰謀をかぎつけ調査を始める。
アタリと5匹は、予言犬の「旅を続けよ」という言葉に従うが、思わぬアクシデントから、アタリとチーフが仲間からはぐれてしまう。少しずつ心を通い合わせ始める一人と一匹に、さらなる冒険